SGA児(エスジーエーじ、small for gestational age newborns、不当軽量児とも)は、在胎週数に基づく基準値よりもサイズが小さい新生児であり、「出生体重が在胎週数の10パーセンタイル値未満」として定義される。
原因
次のように大別される。
- 体質的に小さい、つまり児の遺伝的特徴である
- 子宮内における胎児発育遅延
診断
胎児期には、超音波検査で児体重を推定する。出生後に児体重を計測し、在胎週数に基づく基準値と比較して診断する。
なお、妊婦健診未受診などで在胎週数が不明の場合、New Ballard スコアなどで在胎週数を推定する。
管理
SGA児の90%は、2歳になるまでに成長に追いつく。ただし、成長障害や低血糖その他の状態に注意する必要がある。低血糖症は asymmetrical(非対称性、頭囲が比較的保たれている)のSGAの赤ちゃんによく見られる。低血糖症は、頻回授乳などで対応する。
2歳までに追いつかない残りの10%については、内分泌専門医に相談する必要がある。成長ホルモン療法の適応となる場合がある。 必要に応じて、次のような専門家が関与する。
- 消化器内科医 - 逆流や胃内容排出の遅延に対応するため。
- 栄養士 - 成長障害に対応するため。エピジェネティックな反応により、肥満や2型糖尿病などの代謝障害を起こしやすい可能性がある 。
- 作業療法士 - 摂食の問題のうち、感覚の問題が関連するものに対応するため。
- 行動主義者 - 摂食の問題に対し、(主に2歳以上の児に対して)行動的アプローチを使用するため。
- アレルギー専門医 - 食物アレルギーを診断または除外するため(アレルギーの頻度が高いわけではない)。
- 耳鼻咽喉科医 - 扁桃腫大を診断または除外するため(扁桃腫大の頻度が高いわけではない)。
胎児発育遅延が妊娠中に診断された場合、必要に応じて分娩誘発を行う場合もある。
用語
定義上、新生児の10%がSGA児である。SGAであるすべての新生児が病的なわけではなく、体質的に小さいだけの可能性もある。いずれにしても、低血糖症、低体温症、多血症の危険性を予測する上で重要である。
胎児発育遅延(遺伝的に決定されたサイズを達成しない状態)に伴うSGA児であれば 、「胎児発育遅延に関連するSGA」SGA associated with intrauterine growth restriction という用語が使用される。SGA児ではあるが病的とはいえない児を除外するものである。 重度の低身長を伴う SGA(または重度のSGA)の児とは、出生時身長が-2.5SD未満の児と定義される。
低出生体重児(low birth weight, LBW)は、出生時の体重が2500g未満の児として定義される。 出生時の体重が1500g未満であれば極低出生体重児(very low birth weight infant, VLBW)、1000g未満であれば超低出生体重児(extremely low birth weight, ELBW)である。
SGA児は、低出生体重児、超低出生体重児、または超低出生体重児とは異なる概念である。在胎35週、体重2250gで出生した児は、SGA児ではないが、低出生体重児である。
日本における用語
産婦人科用語集・用語解説集(改訂第4版)における定義は以下の通り。
- light-for-dates [LFD]
- 在胎週数に比して出生体重が著しく軽い児をいう。すなわち、在胎週数別出生体重基準の10パーセンタイル未満の児のことをいう。
- small-for-dates [SFD]
- 身長・体重とも小さい児
脚注
外部リンク




