内陣(ないじん)は、
- 寺院の本堂内部において本尊を、神社の本殿内部において神体を安置する場所。外陣(げじん)と対置される。
- 上の語をキリスト教の教会建築におけるbema, chancelの訳語として用いたもの。
寺院建築における内陣
宗派や用法にて様々であるが、高野山真言宗を例にして示す。
神社建築における内陣
教会建築における内陣
教会建築における内陣(ギリシア語bema, chancel)は、身廊の東端部に設られ、イコノスタシスやテンプロンなど、正面仕切りなどで身廊と隔てられた空間。
内陣は、主祭壇を安置するための聖職者専用の空間である。主祭壇のある部分は、特に至聖所と呼ばれる。
ベマ(bema)はギリシア語で説教段や演台を意味し、正教では、主祭壇が置かれ、イコノスタシスで区切られた空間を指す。ユダヤ教ではモーセの五書を朗読するための演壇のことである。
Chancelは、身廊と分けるための仕切りを意味するラテン語カンケルス(cancellus)に由来するもので、より広義に交差部より東の部分全体を意味することもある。初期キリスト教では、アプスにプレステビリが設けられ、これが内陣として機能していたが、西ヨーロッパでは大祭壇をアプスに移し、その前の方形の空間(アンテクワイアまたはクワイア・スクエア)にプレステビリを設けて内陣とした。9世紀になると、プレステビリの前に聖職者聖歌隊席が設けられ、この空間と側廊、周歩廊、祭室も含めて内陣とされる。
脚注
参考文献
- ニコラス・ペヴスナー他著 鈴木博之監訳『世界建築辞典』(鹿島出版会)ISBN 9784306041615
- シリル・マンゴー著 飯田喜四郎訳『図説世界建築史 ビザンティン建築』(本の友社)ISBN 9784894390201
- ハンス・エリッヒ・クーバッハ著 飯田喜四郎訳『図説世界建築史 ロマネスク建築』(本の友社)ISBN 9784894390454
- ルイ・グロテッキ著 前川道郎・黒岩俊介訳『図説世界建築史 ゴシック建築』(本の友社)ISBN 4894390485




